団長シマシです。
演奏会チラシの曲目を見た方から
「池月ってあの馬堀にある池月?」
という質問がありましたので、
今回は「池月IKEZUKI
~海を渡った馬の伝承~」を
取り上げます。
この作品は
横須賀市馬堀(まぼり)の地名に
由来する伝承から
イメージを膨らませた作品で、
作曲は浦賀ウインドの
団員・指揮者でもある宮川成治。
この欄でもマエストロ・ミヤガワ、
マエストロM氏として
たまに登場しています。
では、まず馬堀(まぼり)に
伝わる伝承をご紹介しましょう。
その昔、房州(今の千葉県)に
田畑を荒らす気性の荒い
暴れ馬がいました。
困り果てた村人に
追い払われた暴れ馬は、
東京湾を越え今の走水に
泳ぎ着きます。
さすがの暴れ馬も
疲れと喉の渇きには勝てず、
山中で倒れてしまいます。
すると、夢枕に馬頭観音が現れ、
傍らの岩を蹄で蹴るようにとの
お告げがありました。
お告げのままに岩を蹴ると、
そこから清水が湧き出し、
その水で喉を潤すと、
見る見るうちに毛並みの美しい
駿馬に姿を変えました。
人々は、その奇跡の清水を
「蹄の井」と呼び、
いつしかこの地は
「馬堀」と呼ばれます。
この噂を聞いた領主・三浦義澄は
馬を捕獲し、時の将軍・源頼朝公に献上。
喜んだ頼朝は「池月」と命名します。
宇治川の合戦に際し、頼朝は
池月を佐々木四郎高綱に与えます。
この合戦で高綱は、先陣争いに勝ち
池月は名馬として名を残すことに。
名馬「池月」の伝説や史跡は、
青森から鹿児島まで、
日本各地に残されています。
(一説では39か所もあるそうです)
ちなみに、昨年の大河「鎌倉殿」では
三浦義澄は佐藤B作さんが演じていました。
あの三浦義村(山本耕史さん)の父親。
さらに、佐々木高綱は「鎌倉殿」初期に
言語不明瞭で笑いを誘った
佐々木のじいさん(佐々木秀義)の四男。
「鎌倉殿」の後で一段と
身近なテーマになったようです。
さて、この作品は2019年の出版。
作曲者によれば、2016年に出版した
アンサンブル作品に修正と拡大を加え
吹奏楽版に再構成したとのこと。
馬が雄々しく駆け抜けるような
躍動感あふれるカッコいい音楽と、
美しく生まれ変わった馬を表す
穏やかで優しい音楽、
性格の異なる2つの主題を
中心に構成された
壮大でドラマチックな作品です。
すでに動画サイトでも
複数の演奏が聴けますが、
コンサートホールで
作曲者自身が指揮する演奏は
今回が初めて。
指揮にも、演奏にも
熱が入っています。
乞う、ご期待!